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主な内容
1.出版の経緯『地盤調査の方法と解説』は,『地盤材料試験の方法と解説』とともに,地盤工学会の代表的な出版物であり,それぞれ「青本」,「赤本」という名称で長年にわたって幅広く利用されている。土質調査方法に関する学会の単行本は,1956年に出版された『土質試験法解説(第1集)』に土の物理的性質の土質試験方法とともに,道路の平板載荷試験方法等の4つの日本工業規格(JIS)とその解説が掲載されたのが最初である。その後,同書は1961年に改訂された。さらに,第1集に収容されていない土の力学的性質の土質試験方法やサウンディング,基礎杭の試験,現地計測等の調査方法をまとめた『土質試験法解説(第2集)』が1959年に発行された。このように当時は土質調査と土質試験の方法が一緒になった単行本であった。これはJISの制定順序等に基づいて整備された経緯のためである。そこで,調査・試験方法の合理的な体系化のために,主として原位置の地盤において実施する土質調査と採取した試料について室内で実施する土質試験とに大別し,それぞれ一つの書として1964年に『土質試験法』と『土質調査法』が出版され,今日の原型が誕生した。『土質調査法』は,1972年第1回改訂版,1982年に第2回改訂版がそれぞれ出版された。「土質調査」という名称が本書の内容を適切に表現していないことから,地質調査,地下水調査,載荷試験,地盤環境調査等を含み地盤に関わる調査を意味する『地盤調査法』という名称に1995年改訂の際に変更した。その後,前回2004年の改訂では,「解説」を充実させるとの基本方針と,既に改訂済みであった姉妹版である『土質試験の方法と解説』との整合を図る意味から,書名を『地盤調査の方法と解説』に変更した。一方,1992年に計量法の改正が行われ,3~7年の猶予期間を経て1999年10月1日より経済活動及び日常生活においてSI単位(国際単位系)を主体とした計量単位を使用することになり,『地盤調査の方法と解説』改訂時に全面的にSI単位に移行した。2013年度版の改訂における主な改訂点は以下のとおりである。①「土」の規格・基準に加えて「岩」の基準を大幅に増やしたことにより収録した規格・基準の数が大きく増えた。②ISOの進捗や技術の進歩に合わせた規格・基準及び解説の見直しを行った。③基準の書式を日本工業規格(JIS)に合わせた。④基準の統合や廃止を検討することで分類と基準番号の整理を行った。◎規格の改正日本工業規格(JIS)は,5年毎に見直し(確認,改正,廃止)が義務づけられている。土質試験及び地盤調査の規格は,従来から地盤工学会が原案を作成することとなっている。今回の改正にあたっては,対応ISO規格との整合性を図るとともに,「JIS Z 8301:2011 規格票の様式及び作成方法」に準拠した標記に変更した。◎基準の制定及び改正1995年の改訂では,40基準が改正あるいは新規制定され,『地盤調査の方法と解説』に掲載された。今回の改正では,「岩」関係や「環境化学分析」のための調査法を大幅に追加したことから,57件の基準(前回より17件の増加)を掲載した。2.編集方針と主な変更点◎編集方針本書は,地盤調査に関する規格・基準とそれ以外の比較的よく用いられる方法や将来普及が期待される方法等を掲載し,それらについての解説及び結果の解釈と利用方法等を記述するとともに,地盤調査に必要な事項や内容等を総合的に集約した。したがって,規格・基準の使用方法のみを記述した書物とはなっていない。 また,地盤・基礎工学,地盤環境調査に携わる技術者・研究者に広く役立ち,内容については客観的,かつ公平となるよう,しかも分かりやすくなるよう執筆段階から努めた。 前回改訂の『地盤調査の方法と解説』は12編から構成されていた。収録した基準や解説の内容に応じ一部タイトルは変更したが,今回も構成は同じ12編とした。新規制定の基準及びその解説については関係する各編に加えることとした。 なお,今回の改訂では,「第6編サウンディング」に分類していた「孔内水平載荷試験」に関し,「土」と「岩」を統一的に扱うこと,昨今の国際動向等も考慮し,試験名称を「プレッシャ-メータ試験」に変更するとともに「第8編 載荷試験」に移動した。ただし,「サウンディング」と「載荷試験」の定義や分類に関しては,委員会内で相当の議論を行ったが明確な結論には至らず,今後も継続的に審議することとした。 近年の調査・計測技術の進歩は著しく,現場では新しい方法も数多く用いられる。しかしながら,そのすべてを網羅することはできないため,詳細は参考文献を明示して他書に譲ることとした。『地盤材料試験の方法と解説』と『地盤調査の方法と解説』は,地盤調査から室内試験までの一連の作業を対象とするので,『地盤調査の方法と解説』の書式は可能な限り『地盤材料試験の方法と解説』に調和させた。例えば,規格・基準と解説を区別するために,規格・基準の本文については網掛けを行ったこと,解説の組版は原則として二段組みにしたこと等である。ただし,規格・基準の本文は,「JIS Z 8301:2011 規格票の様式及び作成方法」に準拠した標記に変更したことにより,すべて一段組とした。一方,用語については一部で調和した表記にはならなかった。例えば,現在室内試験の供試体に対しては「乱さない試料」という用語が用いられるが,サンプリングの観点からはこの語は適切ではないと考えられることから,「乱れの少ない試料」という語を用いている。◎編集及び執筆体制本書の編集及び原稿の執筆は,「地盤調査規格・基準委員会」及び委員会内に設置したワーキング(WG1~WG10)が担当した。委員会では,編集の基本方針等の重要事項を審議・決定するとともに,ワーキング間の調整等を行った。規格・基準の解説の内容に対する責任は,「地盤調査規格・基準委員会」及び各編を担当したワーキングが負うこととなっている。ただし,JIS規格は国が定め,学会基準は学会(基準部及び理事会)で決定されたものであるため,「地盤調査規格・基準委員会」やワーキングが負うべき性格のものではない。◎杭の試験方法及びグランドアンカー設計・施工基準の取り扱い「杭の試験方法」及び「グランドアンカー設計・施工基準」については,次の理由から本書に含めないこととした。①上記基準は内容が豊富な独立した出版物である。②本書は地盤を対象とする調査方法及び解説を掲載した書であるのに対し,上記基準は地盤と構造物に対する性能試験基準,あるいは設計・施工基準であり,本書に掲載された基準及びその解説と性質が異なる。したがって,上記基準については,以下の単行本をご利用願いたい。『杭の鉛直載荷試験方法・同解説-第1回改訂版-』2002年発行『杭の水平載荷試験方法・同解説-第1回改訂版-』2010年発行『グランドアンカー設計・施工基準,同解説』2012年発行◎解説の構成と内容本書は,規格・基準の項目に対応させて解説を付けるとともに,それ以外の方法についても紹介した。さらに,結果の解釈についても可能な範囲で記述した。目次第1編 地盤調査の計画 第2編 概略調査第3編 物理探査・検層第4編 ボーリング第5編 サンプリング第6編 サウンディング第7編 地下水調査第8編 載荷試験第9編 現場密度試験第10編 現地計測第11編 地盤汚染調査の方法第12編 地盤環境調査